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MAHARAJA 祇園

悩殺お立ち台ギャル

平成5年8月24日 京都新聞夕刊より引用

「バスや電車の中で、横に立つ女性の方が背が高い時なんか、肩身が狭いなあ・・・」。男ばかりで集まれば、こんな愚痴がつい出てしまうほど、近ごろの女性の目立ちっぷり?は、いやに気になる。そんな男たちを台の上から見下ろし踊り回るセクシーなボディコンの女の子たち。東京都内のディスコ「ジュリアナ東京」に始まった熱い旋風が、昨年暮れ「マハラジャ祇園」(京都市東山区祇園町)にも上陸。三味線の音が流れてきそうな「祇園」の文字が「GION」に変わり、やがて電飾のように輝きそうな土曜の夜、冷夏も吹っ飛ぶ場内に足を踏み入れた。

目立つのが快感なの

 午後九時。それまでレストランだった場内から客が去ると、にわかに空気まで一変。次々やって来るふだん着の若者たちの中に、ひときわ目立つ女性たちが数人。いずれもハイヒールに超ミニのスカート、ボディーラインもあらわな白や黒の衣装。手には鳥の羽根をいっぱいつけたような扇子を持つ。うむ、最近テレビや週刊誌をにぎわす「お立ち台ギャル」とは彼女たちのことか。  中央のホールに客が集まり、踊り出す。初めは、ふだん着組が軽く体を動かす程度だったが、一時間後。ころ合いをみはからったように、十数人のギャルがさっそうと、お立ち台に並んだ。場内の沸騰点がぐんぐん上昇する中、「ゴールデンタイム」を迎えた。

まるで女神

 ホールの周りの高さ約1.5メートルほどの台に上ったギャルは、扇子をひらめかせつつ腰を大きく左右に振る。ホールにひしめく百人近くが彼女らを仰ぎ、動きを合わせ始めた。踊りをリードし、一群を陶酔状態に導く彼女らはまるで女神か菩薩(ぼさつ)のようなまばゆさだ。  「職場のストレスを吹き飛ばせる」「職場以外の友達ができる」と、お立ち台効果について、城陽市のOL(20)と、山科区のインストラクター(20)は、そう答えた。「昨年の夏からこのスタイルで踊り続けている」という南区の歯科衛生士(21)と大阪市旭区のフリーター(20)は「この服装、目立つし、かわいいもん」。  女の子の中には、親がテレビでジュリアナ東京の模様を見て「あんた、こんなことしてるの」と、怒られた人もいるのだが・・・。彼女らは、ほとんど毎週、駅や喫茶店のトイレでボディコンのユニホームに着替え、ここに来る。「お立ち台で踊ると気持ちいい」「注目されるし、自己満足できるから」。彼女らは、汗も乾かぬうちに、またお立ち台に戻っていった。

派手さ競い

彼女らを「自己主張がうまく、自分に対して正直なのでは」とみるのは、店長の塩尻浩三さん(30)。時に女性同士の競争心から、派手さがエスカレートすることもあるそうで、上半身裸になろうとする女性がいて、止めに入ったこともあったという。

”見物”のおじさんも

 「DJはディスコの管制塔。いかにいい雰囲気をつくるか、ですね」そう語るのは、この道九年目の中原俊浩さん(28)。仕事は、選曲、照明など。「お立ち台を明るくしたりして、女の子が目立つようにいろいろ工夫します。店の華ですから」  天井やお立ち台のライトが、赤や緑の光を浴びせかけ、テクノ・ハウスの、サイレンのうなりにも似たシンセサイザーの音。ホールはやがて、SF映画の輝くUFOのように揺れ、舞い上がる。  「下からおじさんがじっと見てるんです。なにか嫌ですねえ」足元で視線を感じることが、ままあるらしいが、土曜日には、千人以上が踊りに来るのだし、おじさんたちがいたっていいではないか。  この夜はざっと見渡すと、年配者は10人以上。遠くからギャルたちを見ていた30代後半の男女3人。「初めてここに『見物』に来た」。男性の一人は「派手に踊ってるけど、まあええやないの。僕らかて見てたら楽しいしねえ」と、ほほ笑む。  ここは、いつしかニュー観光スポットになっているようだ。

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